花ハウスだより

認知症サポーター養成講座~7月17日開催花カフェレポート

多摩区認知症キャラバン・メイトの会「たまのわ」メンバーによる「認知症サポーター養成講座」が7月17日、よみうりランド花ハウス1階のデイサービス・ルームで開かれました。第16回「みなさんのしゃべり場 花カフェ」の講義として行われたもので、地域住民の皆さんなど31人が参加し、社会福祉法人「よつば会」の看護師、望月キヨ子さんら4人の講師が養成講座の狙いや認知症の原因、主な症状、家族による早期発見の重要性、認知症予防に有効なポイントなどを説明しました。家庭内や街中での認知症高齢者への正しい接し方を伝える寸劇も披露され、終了後、参加者全員に養成講座を受けた証である「オレンジ・リング」が渡されました。

以下、概要をレポートします。

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「認知症サポーターとは」:超高齢社会に入り、政府は①医療・介護連携による認知症の方への支援②認知症の予防、治療のための研究開発③認知症高齢者にやさしい地域作り――を柱とする総合的な認知症対策「新オレンジプラン」を進めている。「認知症サポーター養成講座」はその地域対策の一つで、政府は平成29年までに全国で800万人の認知症サポーター養成(28年3月で750万人)を掲げ、認知症サポーターキャラバン事業を推進している。認知症を正しく理解し、認知症高齢者を日々の生活で支える役割を担う者がサポーターで、川崎市多摩区では小学校の科目に養成講座を組み入れるなど、すそ野拡大に努力している。

多摩区認知症キャラバン・メイトの会「たまのわ」はその事業の一翼を担うボランティア・グループ。本日の養成講座には望月キヨ子、染谷由紀子、山田洋子、樋口勇一の4氏が講師として出席した。本日受講された皆さんは、ぜひ家族や友人などにも活動への参加を勧めて頂きたい。

「認知症の症状、原因など」: 認知症は脳の細胞が壊れてさまざまな障害が起こり、生活上の支障が6か月以上続く状態をいう。普通のもの忘れは認知症ではない。人間の脳はメロンパンが横に二つ並んだ形をしているが、前頭葉は「花カフェに行こう」といったような意欲を、頭頂葉は体の感覚を、後頭葉は見る感覚を、側頭葉は記憶の保存をつかさどり、海馬には大事な情報がしまってある。脳の委縮などでそれらの働きが悪くなるのが認知症だ。

 一口に認知症と言っても、よく聞かれる「アルツハイマー病」のほか、早期に震えや幻覚症状が出る「レビー小体型」、万引きなど反社会的行動を発現しやすい「前頭側頭型」、脳梗塞などで起きる「脳血管性」がある。アルコール中毒なども原因になる。

 症状は、認知症になればだれにでも起きる記憶障害を始め、時間、場所などの感覚が失われる見当識障害などが表れる中核症状と、本人の性格や環境、人間関係などによって表れる行動・心理症状(BPSD)とがある。BPSDには不安やうつ、幻覚・妄想、徘徊、暴力などの問題行動が挙げられる。

 進行状態のあらましは、第1に、認知症が疑われる3年間ほどの変ぼう期があり、第2には、今日が何月何日か分からなくなるなどの混乱期が4~5年続く。そして、夜間外出したら絶対に戻れない徘徊などが表れ、手洗いが理解できないためのオムツ使用や着替えの手順が分からなくなるなどの状態になり、3年程度で寝たきり状態に移って行く。

「家族による早期発見」:認知症には早期発見、早期治療が大事だ。特に、初期症状は同居の家族の力で見つかる。男性では、トイレが分からず、部屋の隅や電灯がついている場所で小用を足すケースや、女性では、真夏にセーターを着てデイ・サービスに行ったりするケースなどがある。男性は退職後、地域で活動すべき場がないことから、認知症が早く進みやすい。家庭では、症状が進む高齢者と同居の嫁との関係が感情的なバトル(争い)になりやすいが、同居の孫にバトルを見せると悪影響が出るので要注意。早目にかかり付け医や地域包括支援センターに相談するなど、地域の社会的支援制度を使った方がいい。認知症はだれしもなり得る病気なので、家族は1人で介護を抱え込んではいけない。

「日常生活での認知症予防」:心身が丈夫であることは“老老介護”の中でも重要だ。脳と体を若返らせ、認知症を予防するには、まず、日記をつけることが有効だ。脳は書くことで活性化され、日記はもの忘れ解消に役立つので、大事なことはいつも書き留めておくようにしたい。今日の新聞に何が書いてあったかなどを記録するのもいい。

次に、身体の若返りに努めること。女性は男性より10年早く、50歳代で体の綻びが出てくる。筋肉や骨をしっかり保ち、ホルモンの働きも良くするには、三度の食事をきちんと取る必要がある。“アヒルメシ”(朝食、昼食兼用)は避け、食事はタンパク質のおかずから食べ、主食のご飯を後にすると食べ過ぎにならずに済む。さらに、規則正しい眠りをとること。寝る前、10分間の体操をすれば、体温調節がうまくいってよく眠れる。まさに継続は力なりだ。


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