花ハウスだより

介護の悩み、ひとりで抱え込まない~デイサービスのご利用者家族が懇談会

 デイサービス利用者様のご家族が集まり、自宅での介護の悩みを語り合う家族懇談会が開かれました。新型コロナウイルスのため4年ぶりの開催となりましたが、これまでで最も多い28名のご家族が参加されました。

 参加者は三つのグループに分かれて自己紹介すると、困っていることを順々に打ち明けます。「つい声を荒げてしまうことがあります」。妻を介護している男性は、トイレにおむつを流してしまった妻を怒鳴ってしまいました。なかなか人に相談しにくいことも、同じような境遇にある参加者の前だと、素直に話せます。

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 周りのご家族は、男性の話にじっと耳を傾けながら、それぞれに感じたことを口にします。「怒鳴ってしまう気持ちはわかります」「怒るのは、一生懸命に介護している裏返しですよ」「怒っても何も変わりません。本人は何を怒られているかわからず、マイナスの感情だけが残るようです」。いろんな感想や助言が聞かれます。

 「『なんてことをしてくれるんだ!』と思っても、少し距離をとって、自分のおかれている状況を俯瞰してみると、『私って大変』と笑える余裕が出てきます。そうすると、認知症の方のふるまいを『面白い』と感じられることがあります」。ベテランの介護職員の言葉に、ご家族のひとりが「もはや神の領域ですね」と感心し、笑い声が起きました。

 昨年、母を見送り、介護を卒業したという女性は、一緒に介護を担ってくれていたご主人が認知症の母親を怒ってしまうようなとき、スマホで動画を撮影したそうです。後で冷静になってから一緒に見返すと、「あんな風に怒るんじゃなかった」とか、いろんな気づきがあったそうです。

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 困りごとを一人で抱えない、というのが、交流会の趣旨。誰かに話したからといって解決につながるとは限りませんが、少し気持ちが楽になることがあるそうです。交流会では、職員がリードしなくても、ご家族同士で会話が進み、互いに助言し合う場面が見られました。

 こんな悩みを口にする参加者もいらっしゃいました。「自宅で介護をしてきましたが、入院が必要な病気になってしまいました。入院すると認知症が進むと聞きますが、どうしたらいいでしょうか?」。心配そうに尋ねる参加者に、「環境が変わることで認知症が進むというのはその通りです。ただし、治療しないと今後の生活に影響がでるということであれば、入院を遅らせるのはよくない。なるべく早く治療し、前の生活のパターンに戻すことも考えてはどうでしょうか」というアドバイスがありました。

 会議の最後、デイサービスの宇治淳史所長は「ご本人のケアのみならず、その生活を支えているご家族の力にもなれるデイサービスでありたいと思っています。いつでも困ったことがあったら、相談してください」と参加者に呼びかけていました。

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