昭和100年。人の温もり、心を強く持つ大切さ。あなたが教えてくれた
昭和は遠くなりにけり。少し前になりますが、デイサービスの敬老イベントで、長寿の利用者様に送られた感謝状の書き出しは「今年は昭和100年」。人生の先輩である利用者様への職員の率直な思いがにじみ、「いい文章だなあ」と感じたので、少し長くなりますが、ここに全文を紹介させていただきます。
「今年は昭和100年。今でも昭和が続いていたならば、一世紀の時が流れたことになります。あなたが心を燃やし、命を輝かせた景色は少しずつ遠ざかっていきます。けれども、私たちが平和な世の中に生まれ育ち、今こうして暮らすことができているのは、人と人との温もりや心を強く持つことの大切さを、あなたが教えてくださったおかげです。
どんなに時代が移ろい、人々の口からこぼれる言葉や歌が変わろうとも、あなたは大きな向日葵(ひまわり)のように、私たちを励まし見守ってくださっています。言葉では言い尽くせない感謝の気持ちをもって、これからもあなたの後ろ姿を追いかけて生きていこうと思います。ここに、これまでのご労苦に感謝の意を表するとともに、心よりご長寿のお祝いを申し上げます」
敬老の日は、社会をつくりあげてくれた人生の先輩に改めて感謝する機会。今の世界があるのは、先輩たちのおかげ。そのことを忘れてはならないと感じます。
いまデイサービスに通われている利用者様の大半は80歳代、昭和20年代の生まれです。青春時代から働き盛りの時期は、戦後の復興期から高度経済成長の時期と重なります。
敬老週間の行事では、昭和を代表する美男子やスポーツ選手、出来事について事前に利用者様にアンケートをとり、関連する出来事を寸劇風のパフォーマンスにして披露しました。経営の神様と言われた松下幸之助、アポロ11号の月面着陸、長嶋茂雄の引退セレモニー......。利用者様はパフォーマンスに見入りながら、大切な人と過ごした懐かしい日々を思い出しているようでした。