微笑みの国からようこそ、ミャンマーで学んだ2人再会【花ハウスの人々28】

ミンガラーバー! ミャンマー語で「こんにちは」、幸せがありますように、という意味だそうです。何だか、ほっこりする響きですね。ミャンマー出身の介護職、Uさん(25歳)が、よみうりランド花ハウスで働き始めました。
「お部屋行きましょうか」「お食事いただきましょう」。Uさんが利用者様に寄り添い、声をかける様子はとても自然です。笑顔がたえません。外国から来た人が介護職として働くのは初めてですが、すっかり施設の雰囲気に溶け込んでいます。
「花ハウスでは利用者様が自分のペースで落ち着いて過ごされています。お預かりしているというよりも家族みたいで、寂しい感じがしません」
仕事の目標は「利用者様も自分も穏やかに過ごすこと。みんなで仲良く仕事していきたい」で、「大きな目標はない」そうです。「大事なのはきちんと仕事をすること。もし自分が間違えていたら遠慮せずに注意してほしい」と真剣です。
介護の面白さは、利用様によって反応が違うこと。最初は意思疎通がうまくいかずに苦労しましたが、どういうタイミングでどんな言葉をかけると素直に聞いてくれるか、利用者様ごとに対応を変えることを覚えました。

出身はミャンマー南部のモン州。日本で働く親戚の影響で高校卒業後にヤンゴンの日本語学校で学び、19歳で介護の技能実習生として来日しました。その後、介護職として働きながら特定技能の資格に移行し、独学で介護福祉士の試験に合格しました。
古里は熱帯の果物や野菜の栽培が盛んで、のどかな村。「村の人たちが何をしているか、みんな知っているし、家にも行ったことがある。遠くから大声で『○○さん、なにしているの~。おいしいものつくったから食べに来ない?』と呼び合います」。
敬虔な仏教徒が多く、いつも笑顔の国民が多いという印象から、ミャンマーは「微笑みの国」と言われています。「みんないつも笑っているんですか」と尋ねると、「そんなこと全然ないですよ」。思ったことは遠慮せず言い合い、街では路上で歌ったり大声で話したりする人々がいます。
日本では、隣近所の人間関係は希薄です。都市部の集合住宅では隣にだれが住んでいるか知らず、気にもしません。ほかの人に迷惑をかけないように、公共の場所ではみんな静かにルールを守って行動しています。「ミャンマーは昔の日本みたいと思います。日本に来て、自分もほかの人の迷惑にならないようルールを守らなきゃいけない」
最近うれしいことがありました。11月に花ハウスに入職したミャンマー出身の女性職員が、8年前に同国の日本語学校で一緒だった先輩でした。「まさか会えるとは思ってもいませんでした」。偶然ですが、何か大きな力に導かれて再会したのかもしれません。(剛)


