花ハウスだより

最後まで家で暮らすための支えとは~6月26日開催花カフェレポート

第15回「みなさんのしゃべり場 花カフェ」が6月26日、よみうりランド花ハウス1階のデイサービス・ルームで、近隣住民の方々など42人が参加して開かれました。講師は、あうん介護センター所長の吉澤保さんと同センター訪問介護統括責任者の櫻井奈穂子さん。同センターは川崎市多摩区で在宅高齢者を支える「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」の唯一の事業所として知られていますが、吉澤さんらは住み慣れた家で日々を送りたい人たちのための訪問介護・看護のあり方や24時間対応型サービスの現状などを分かりやすく説明しました。

以下、概要をレポートします。

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「多摩区の定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業の実際=吉澤さん」: あうん介護センターは、在宅高齢者への訪問事業や地域カフェなどの運営を行っている。かつての訪問介護は社会福祉協議会に属するホームヘルパーが担っていたが、一コマが2~3時間と長く、オムツ使用の高齢者宅にも1日に2~3回しか訪問できなかった。これでは、一人暮らしの高齢者を支えることは難しいため、当時、ある大手業者が24時間定期巡回の事業を考えた。

定期巡回と随時対応とを組み合わせた365日24時間対応の介護・看護訪問事業所は、多摩区ではあうん介護センターだけだ。従来の指定型訪問事業と比べると、定期巡回の一回当たり訪問時間は15~20分と短く、今後の重要テーマである介護と医療の連携が比較的よく取れているという特徴がある。

訪問介護は身体介護と生活援助とがあるが、今後、団塊の世代が介護の必要な時期に入ると、保険制度そのものを含めて社会全体で高齢者を支えるのが難しくなりそうだ。

 

82歳の女性の具体例=櫻井さん」:肺結核や軽い認知症があり、娘さんと二人暮らしの女性(82歳)の例を紹介する。担当した当初は、両足が動かず全介助で、まるで骨と皮のように痩せ、動こうとする意欲も筋力もなく、体中にワセリンを塗るなど褥瘡(じょくそう)防止処置をしていた。そこで、必ず実行すべき対策として、食事は3食きちんと取り、オムツ交換の回数を多くし、薬はしっかりと飲むように介助した。食事はティースプーン3杯のおかゆしか食べなかったので、1日7回の定期訪問の時に何か食べるように、また水分摂取も回数を多くしてトータルで摂取量を確保するようにし、午前6時から3時間ごとの訪問で毎回、オムツ交換と体位変換をした。看護師には褥瘡防止や体位変換の仕方などを考えてもらった。

 その結果、2週間でベッドから移動しようとする動きが出てきて、「おそばが食べたい」との言葉も出て、普通のそばの半分ほどの量を食べることができた。6~8か月経つと、介助すればトイレで排泄できるようになり、今では自力で室内を歩き回り、食事もある程度自分でできるまでになっている。これは特別な例だが、介護と医療の連携でそこまでの日常生活ができるよう回復したのだと思う。

 

「24時間訪問事業の運営問題と今後の地域包括ケアの方向=吉澤さん」:ショートステイやデイサービスなどを受けていた人が、24時間訪問サービスを受ける場合がある。この訪問サービスは介護保険支給限度額の6~7割を占めるため、それまでのショートステイなどを受けられなくなる問題がある。また、限られた資源でお互いに助け合うのが介護保険サービスだが、施設でも在宅でも介護職になる人材が少なくなっている。このため、在宅では隣人同士の助け合いを考えていかざるを得ないし、介護職はより専門性を高めるための教育を受けなければならないが、人が足りないため現場が回らなくなっている。専門性を持つためには社会的知識の積み重ねがないと難しいと言える。

2025年の地域包括ケアにとって大事なことは、高齢者の死についての教育、つまりこんな風に死にたいという自分の死に対する覚悟が必要ということだ。その覚悟はどう生きるかにも通じる。次に、家族、友人、近隣住民とのネットワーク作りが欠かせない。私たちがやっている地域カフェもコアメンバーが徐々に増えているが、団塊の世代はなぜか、なかなか登場しない。地域の人たちが集まれるスペースがもっとあればよいと思う。


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