花ハウスだより

すべてを笑いでくるみたい、バンプにきょうも励まされ【花ハウスの人々5】

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 5階副主任のIさん(35)は、いつも笑みをたたえた穏やかな表情で、周囲の人に安心感を与えてくれます。姿を見ると、つい声をかけたくなる佇まいなのです。「何でいつも笑っているのって、よく聞かれるんですけど、昔からなんです」

 施設は自分にとって仕事場でも、ご入所者様にとっては生活する家のような場所。「怖い顔をした人が家にいたら絶対嫌だ、って思うじゃないですか」

 例えば、ご入所者様が食事中に、食べ物を床に落としてしまうことがあります。「なにしてんの~!」って怒れば、ご入所者様は悲しくなるし、嫌な雰囲気にもなります。でも、「まあ大丈夫よ!アハハハハハ」と声に出せば、温かい空気がその場に満ちていきます。嫌なことも、難しいことも、笑いにくるむ。介護の仕事を始めて13年で身につけたスタイルです。

 「忘れられないご利用者様はいますか?」とIさんに尋ねてみました。少し考え込んだあとに帰ってきた答えは、「好きだったご利用者さんならたくさんいます」。入職したばかりのころに会ったご利用者様が特に印象に残っているそうです。夕方になると落ち着かなくなり、どこかに行きたくなっちゃう女性でしたが、孫の接するように、いつも温かい表情でした。「自分のおばあちゃんみたいに感じるんですよね」

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 Iさんは、子供の頃は幼稚園の先生にあこがれていました。工作は苦手だし、弟の面倒見もよくなかったので、「あなたは向いていないんじゃない?」と幼稚園教諭の経験のある母親に言われてあきらめました。じゃあ何が向いているのだろう。「やっぱり人相手の仕事がいい。こどもがダメならお年寄りかな」。大学の社会福祉学科で介護を学び、自宅に近い「よみうりランド花ハウス」に就職しました。

 悩んだのは、副主任に昇格したとき。もともと「人を引っ張るタイプではなく、だれかについていくタイプ」と自己分析するIさんは、どうすれば部下を指導できるんだろう、と戸惑ったそうです。先輩からは、これまでとは違った立場で部下の行動や姿勢を観察して課題や長所を見つけ、成長を支援する大切さを教わりました。人事考課で部下の仕事ぶりを項目ごとに評価する経験も貴重だったといいます。

 自分を動物に例えるとナマケモノ。攻撃的でないし、家ではのんびりするのが好き。そして人気ロックバンド「BUMP OF CHICKEN(略称・バンプ)」の大ファン。一番好きな曲は「ギルド」。どんな時でも優しく寄り添ってくれるような気がします。へこむことがあっても、「大丈夫だよ」と優しく包み込んでくれるそうです。(剛)


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