花ハウスだより

介護は遊び心、そして人と人との深いつながり【花ハウスの人々17】【花ハウス20周年対談1・後編】

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 「よみうりランド花ハウス」の20周年を記念した若手とベテランの職員の対談。入職13年目の2階の主任、Iさん(38)と、入職2年目の3階、Hさん(30)による対談の2回目です。

 ともに「『ありがとう』を当たり前の言葉と思いたくない」と考え、似た介護観を持つ2人に、「介護を一言とで言い切るとなんでしょう?」と聞いてみました。

家のようにくつろいでもらう

 Iさん「視点によって違ってくるんですけど、あえて言えば、『介護とは遊び心を忘れないこと』でしょうか。10年前に同じことを聞かれたら、『日常生活のお手伝い』と答えていたと思います。もちろん間違っていませんが、それだけじゃあ面白くない」

 そこで、人生の最終章を過ごされている利用者様に居心地よく過ごしてもらうためにはどうしたらいいだろうかと考えたそうです。多くの方は自宅でくつろぐように過ごしたいはず。「テレビを見たり、漫画を読んだり、パソコンしたり、親と話したり。結局、遊んでいるんでいるときが、一番くつろいでいるんです。だから、利用者様にくつろいでもらうには、自分がかかわることで、より楽しい時間を過ごしてもらいたい。自分が楽しまないと、相手も楽しいわけがない。そういう意味での遊び心です」

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介護は人と人との深いつながり

 Hさんにも聞いてみました。「ほぼ同じです。言葉を交わさなくても介護はできる、という人はいるかもしれないけれど、自分には無理。会話や言葉がけは大事だと思う。家族や友達との関係を考えてもわかる。介護には、仕事だけではとらえきれない、人と人との深いつながりがあります」

 施設内を歩いていても、真面目な顔をして黙って利用者様に向き合っている職員はあまり見ません。常に言葉を選んで声をかけながら、介助をしています。言葉を交わしたあとに職員と利用者様が笑い合うと、場の空気が一気に和むのがわかります。一回の勤務で一度は利用者様を笑わせることを目標にしている職員もいます。Iさんには「日常を楽しむコツは、ふざけること」というポリシーがあり、後輩にも介護を楽しもうと呼びかけています。

 では、花ハウスの良さはどういうところにあるのでしょうか。Iさんは13年前に施設の採用面接で、「プロになりたい。だれよりもうまく、たくさん仕事をこなし、利用者に好かれたい」と介護への意気込みを語ったそうです。「今となってはバカみたい。若気の至りだった」と振り返りますが、「上司にほめてもらうと、すごくうれしかった。先輩に恵まれました」と言います。

 Hさんも「何かあると、先輩がしっかり時間をつくって意見を聞いてくれる。疲れていても頑張って残業をこなしている。そんな背中を見ていると、自分もついていこうと思う。やりがいを持てるんだと思います」と、先輩への感謝の念を口にしました。

 その次にHさんが上げたのが、利用者様との柔軟な関係性です。「高級な施設だと、礼儀や言葉遣いのルールがとても厳しいところがあるようです。花ハウスには、礼儀を守りつつ、冗談を言い合えたり、人としての思いを伝えたりできる柔軟なところがあります。あまり使わない言葉ですが、召使ではなく家族に近いイメージでしょうか。利用者様はお客様、顧客であっても、同じ場所で暮らす家族のような存在です」

 最後に2人に「今から20年後、何をしていますか?」と聞いてみました。Iさんは「自分が現場で見たこと、学んだことをいかし、別な立場から施設をよりよくしていきたいです」と意欲を語ってくれました。この20年、介護を取り巻く法制度や技術は大きく変わりました。Iさんが入職した頃、容態が悪化する利用者様がいると、救急車を呼んで入院していただき、病院で死を迎えることが普通でした。どれだけ医療的な措置を受けられるかに注意が向かいがちでした。

 その後、医学的に回復が難しい利用者様に延命治療は避け、穏やかに最期を迎えていただく「お看取り介護」の考えが定着しました。その過程で先輩たちがルール作りのために議論を重ねたそうです。「利用者様にとって、残された時間をどう過ごしてもらうのがよいか。いろんな後悔と失敗を繰り返し、ケアのノウハウや技術も進歩しました。昔はベテランが頑張ってやったことを、今は当たり前のように若手がこなします。将来、施設のレベルが高くなり、自分が過去の人物として『たいしたことないよ』などとバカにされているのが夢です」と笑いながら話してくれました。

 一方のHさんは「自分には夢があります。海外に学校をたてて、そこで生活したいんです。貧しい国でも、おにぎり一個で笑顔になれる。そういう幸せを一緒に味わいたいです」と介護とは違う世界に羽ばたく未来を語ってくれました。(剛)

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 職員に考えてもらった「よみうりランド花ハウス」のシンボルマーク第3弾。2階と4階の職員による合作です。<シンボルマーク案3>になります。

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