９月の最終日、エレベーターで５階に降りると、いつもと違う景色が広がっていました。天井にかかった「祝　花ハウス創立２０周年」の看板、壁には紅白の横断幕、そして焼きそばや焼き鳥、じゃがバターにチョコバナナの屋台が並びます。

　来年３月によみうりランド花ハウスが創立２０周年を迎えるのを記念し、各フロアではこの秋、それぞれ記念イベントを開催します。その第一弾となるのが、この日の5階の秋祭りです。新型コロナが流行した2020年以降、大きなイベントは控えていたため、久しぶりの大型企画です。行事リーダーの若手男性職員は先輩職員に相談しながら、手探りで準備を重ねてきました。

　女性職員は浴衣姿で、入所者様を屋台へと案内し、お好きなものを食べていただきます。祭りと言えば、お酒も欠かせません。ある男性利用者様は、小さな缶ビールを手に満面の笑みです。

　じゃがバターは、噛む力が弱い利用者様向けに、ふわふわのマッシュポテトのように加工されたものもあり、思わず食べたくなりました。焼き鳥がおかれた屋台の前には、有名チェーンをもじって「花貴族」の看板が出ていました。

　お風呂場の脱衣場は、アトラクションのコーナーです。射的は、得点を書いた紙皿が並んでいます。これをピンポン玉で倒すゲームです。本当は、紙コップの裏にゴムを取り付け、ゴムの力でピンポン玉を飛ばす仕掛けでしたが、途中から「まどろっこしいわ」とばかりに直接手で投げ当てるご利用者様も。

　ヨーヨーすくいは、水を張った幼児用プールに浮かべたヨーヨーをオタマで救い上げるゲーム。涼しげな雰囲気を醸し出しています。

　職員は最初に利用者様を順番に食べ物コーナーにご案内し、その後、アトラクションのコーナーに順番に案内するなど、あらかじめ話し合った手順で手際よく進めていました。準備を担った男性職員は「普段はなかなか見ることのできない表情に出会えました。職員が総出で作った焼きそばをおいしいと食べてもらったのもいい思い出になりました」と話していました。

　ようやく訪れつつある秋、利用者様が久々のお祭り気分を楽しんでもらえたら何よりです。